相続対策の基礎知識
単純に相続対策と言った場合、様々な対策がありますが、これらを分類すると概ね下記3種類に区分することができます。
- 争族(遺産分割)対策
- 相続税(減額)対策
- (相続税の)納税対策
これらの対策のうち1種類以上に有効なものを、その必要性を考慮しながら、タイミングよく実行することが重要です。
争族(遺産分割)対策
遺産分割をめぐる争いを防ぐための対策となり、遺言書作成、資産の流動化、生前贈与等が主な対策手法となります。(具体的手法の中身は別途ご紹介いたします。)
相続が発生した場合に最も回避しなければならないことは、遺産分割をめぐり、相続人同士が揉めてしまうことです。
小規模宅地等の特例や、配偶者の相続税額の軽減の特例などをはじめとして、相続税には一定の要件を充たせば税額が減額される様々な優遇措置が用意されています。
ただし、これらの優遇措置を受けるための他の要件を充たしたとしても、原則として相続発生から10ヵ月以内に、遺産分割協議が整ったうえでの相続税申告を行わなければ、これらの優遇措置を受けることは出来ません。
遺産分割協議が整わないばっかりに数百万円、数千万円、はたまた数億円という税額を本来よりも多く納税しなければならなくなった相続人は世の中にたくさんいらっしゃいます。
これはお金だけの問題ではなく、ご自分が残した遺産を巡って親族が争う姿は、亡くなられた被相続人ご自身が最も見たくないものではないでしょうか。だとすれば、残された親族が揉めないための対策を、被相続人となる方ご自身が先頭に立って考え、生前に実行していく必要がございます。
この争族対策は、相続税を納付しなければならない方達のみならず、主な遺産がご自宅のみというごく一般的な家庭でも検討する必要があり、場合によっては最も重要な対策と言っても過言ではありません。
相続税(減額)対策
相続税の納税額自体を減額、またはゼロにするための対策となります。
一般に税理士が行う相続対策としては、この相続税対策が中心となり、財産の評価額を下げたり、財産自体を減らしたりといった事項が主な対策手法となります。(具体的手法の中身は別途ご紹介いたします。)
(相続税の)納税対策
上記の相続税(減額)対策を行ったとしても、ある一定以上の財産がある場合には相続税の納税が発生することになります。
相続税の納税は現金で一括して納付することが原則ですが、現状での現金一括納付が難しい場合に、どのように納税を行っていくかを主眼とした対策となります。
また、相続税の申告納付が既に終わっている場合に、相続税に不慣れな税理士のミス等により過大な相続税を納付していることはよくあります。この過大に納付した相続税の還付を受けるための更正の請求という手続きを行うこともございます。